海辺のホテル
二人できた・・・初めての旅行


重なった肌の温もりを・・・俺は感じていた
生まれたままの姿で、何を・・・隠す事も、恥じる事も無い
俺たちの間を隔てる物は・・・もう何一つ、無い

俺を・・・おまえが受け止めてくれて
そして
おまえの全てを・・・俺は手にした
その日から、幾晩もの夜を重ね
こうして、俺たちは共に過ごしている

おまえの中にいた・・・少女は
俺と共に過ごした・・・時間が、その存在を変えさせた

今・・・
おまえは、女で
俺は、・・・男だ
そして、また、互いを・・・求め合う


俺たちの間を吹き荒れた・・・官能の嵐は
その風を・・・止ませ
今は、・・・穏やかな時を刻む
おまえの、安息の寝顔
それが俺の・・・安らぎ

こうして、俺は幾度となく、おまえの中に・・・果ててゆき
おまえは、それをすべて・・・受け入れて
また
女になってゆく


ベッドから身体を起こし、窓の外を眺める
時刻は午前5時半
まだ明けきらぬ、薄闇の中に、海の気配を感じていた


「・・どうしたの・・・眠れない?」
「・・・ん、眠っているのが・・・もったいない」

「・・・?」
「海・・・見に出かけてくる・・」

「・・・海?」
「ああ・・・・朝の海・・おまえも行くか?」

「もう少し・・眠っていたい・・だめ?」
「いや・・・ゆっくり眠っていて・・・いい」

「・・ん、いってらっしゃい」


俺はベッドの中でまた目を閉じたおまえの頬に・・・口付けて
暗闇の浜辺へ降りていった


ざわざわと・・寄せてはかえす波の音を・・・ただ延々と聞いている
こうして・・・何も考えずに、自然の中で、・・・自分だけを感じていると
そこには、必ず・・・寂しさがあった

けれど
おまえと過ごしている今は・・・
一人でも・・・決して寂しいとは・・・思わない

戻ってゆける場所・・・それが・・・おまえだから
俺の行き着く場所・・・それが、おまえ


汐の香りが鼻を擽る
波打ち際
白い波が、まるで生き物のように揺らめく
そして、また、引戻されてゆく


「風邪ひくよ・・・上着忘れてるんだから」
「・・・ん、来たのか?」
「うん・・・やっぱり一緒に居たいから」

俺は上着を羽織ると、おまえを後ろから抱え込む

「きれいな音・・・」
「・・・ああ」

「朝の海・・・好きなんだね」
「・・・ん」

まだ明けきらないうちは、海はまるで黒い塊り・・・
それが、太陽の現れるのを待って・・・
様々な色を見せる
海が煌めき始める・・・
それが・・・最高の一瞬

「日が昇る・・・」
「きれい・・・・、朝陽ってこんなにきれいだったの・・・」

おまえは、息を飲んで、その様子を見つめているのだろう

「太陽がくれた、俺たちへの・・・プレゼント
一緒に受け取れた・・・」

「私・・しあわせ」

俺は、おまえを振り向かせて・・・そっと唇を重ねた

朝陽は音もなく昇り
波音だけが俺たちを・・・包み込む
いつまでも変わらない・・・自然の営み

その中で、おまえに伝えたかった言葉

・・・愛している」

END


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